『中里の家』は高台の住宅街にある3階建て木造住宅です。
路地奥の20坪程の敷地で通路幅にゆとりはなく、工事車両で目一杯となるような場所です。
3階建てとなると道路斜線と高度斜線が厳しく、斜線制限による建物の形状への影響が大きくなります。
敷地の南側は高度斜線いっぱいの隣家が迫り、日照条件が良いとは言えません。
斜線制限により切り取られた限られた空間の中で、
いかに豊かなで快適な空間をつくりだすことができるのかが重要な設計ファクターとなります。
中里の家はご夫婦とお子さん2人の4人家族で暮らされます。
斜線制限を逆手にとり、3階北側の天井高さが十分に取れない箇所に階段室やごろんと寝転べるような場を設け、
南側は天井高さをしっかりと確保し、お子さんの部屋としてのびやかに過ごせる場としました。
お子さんの部屋は南側からの採光が十分に期待でき、アクティブな空間となります。
また北側にトップライトと吹抜けを設け、昼間の時間帯に日当たりがあまり期待できない2階のリビングに安定した光が入る計画としています。
3階は急勾配の屋根が途中でゆるい3寸勾配となりチャーミングな外観となっています。
野地板の開口部分は非常時の代替進入口のためのルーフバルコニー。
他にも見所がたくさんあり
木造準耐火建築物でありながら無垢の構造材の一部現しています。
室内で許容応力度計算を用いた燃え代設計によるヒノキの柱とスギの梁の現し。
大工の手と既製品の洗面ボウルなどを組み合わせた造作家具も多数あります。
ダイニング前の造作家具収納やダイニングテーブルも製作予定です。
またキッチンは大工が組立て、扉面材を製作するPBキッチン(エクレア)を使用します。
耐震性能は等級3とし、加えて金属流動を利用した制震ダンパーミューダムを設置します。
構造見学会でしか見れませんので是非ご参加下さい。
(時刻歴応答解析によるシミュレーションにより制震ダンパーの配置を決定します)
温熱性能を示す断熱の外皮計算UA値は0.51で2020年基準0.87を40%以上上回る性能です。
また、税制上の優遇措置から認定低炭素住宅としています。(一次消費エネルギー量は基準より-10%)
特に準防火地域内の3階建て(準耐火構造)をご計画中の方は、
準耐火建築物ならではの木質表現をご覧になり、住まいづくりにお役立て下さい。
構造見学会は4月15日(土)を予定しています。
構造躯体パース(提供株式会社山長商店)